新人看護師が辞めたい時に失敗しない絶対チェックのポイント11個!
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
新人看護師が辞めたい場合、退職の手続きや次の職場探しに失敗すると、辞めたいのになかなか辞められなかったり、次の職場でもすぐに辞めたいと思うようになってしまいます。
新人看護師は社会人としての退職の流れを正しく知り、さらに退職の手続きや次の職場探しのための「11のポイント」を知って、今の職場を上手に円満退職するようにして、新しい一歩を気持ちよく踏み出しましょう。
<1>新人看護師が退職する基本的な流れを知る
新人看護師は退職の基本的な流れを知ることで、スムーズに円満退職することができます。
辞めたいと思っている新人看護師さんは、精神的に追い詰められていることが多いと思いますので、スムーズに円満退職をすることが、精神的な負担を軽くするためにはとても大切なことなのです。
新人看護師の退職の流れ
1.師長に退職することを伝える
2.退職願を書いて提出する
3.職場に返却するものを整理し返却する
4.勤務最終日にロッカーを掃除し、職場で退職の挨拶をする
6.退職日に職場から年金手帳等を受け取る
新人看護師は委員会や係にはまだ属していないと思いますので、仕事の引継ぎ等はする必要はないと思いますが、万が一何か部署で任されている仕事があったら、退職前までにきちんと引継ぎを行っておきましょう。
<2>退職の申し出は直前はNG!
新人看護師が辞めたいときのポイント2つ目は、退職することを師長に伝えるタイミングです。退職日直前に師長に「退職します」と伝えるのは止めましょう。最低でも退職日の2週間前までには退職することを伝えてください。
退職直前に「辞めます」と伝えてしまうと、あなたが退職した後のシフト調整やあなたの退職手続きで師長はてんてこ舞いになり、円満退職からは遠のいて、気まずい雰囲気の中で嫌味を言われながら退職しなくてはいけません。
ドラマなどでは退職願を上司の机に叩き付けて「辞めます!」と宣言して踵を返し、職場から出ていくようなシーンがよくありますが、あれはドラマ上の演出であって、実際には社会人としてのマナー違反に当たります。
「退職することを伝えたら、サッサと辞めたい」という気持ちはわかりますが、社会人としてのマナーを守って、最低でも2週間前には師長に伝えるようにしましょう。
民法上では2週間前に退職することを伝えればOKですが、もし就業規則に「1ヶ月前」と書かれていたら、就業規則のほうを守るようにしてください。
<3>辞めることは師長以外には直前まで言わない
新人看護師が辞めたいときのポイント3つ目は、辞めることは師長以外には直前まで言わないことです。
師長以外の職場の人に「私、○日でここを辞めるんです」と伝えてしまうと、そのことが部署内に一気に広まって、退職日まで気まずい中で働かなくてはいけませんので、ストレスが溜まってしまいます。
あなたにどんなやむを得ない事情があって、あなたがどんなに切羽詰っていたとしても、「新人看護師が辞める」というだけで、周囲の先輩看護師は「根性がない」とか「今どきの若い子は…」とマイナスのイメージを持ってしまうのです。
同期の看護師やお世話になったプリセプターには早目に言っておいたほうが良いかな、と思うかもしれませんが、仲が良かった同期でも、今まで優しかったプリセプターも、あなたが退職することを知った途端、突然敵意をむき出しにしてくる可能性もゼロではありません。
また、退職することを理解してくれても、会話の中で思わず「○○さんが退職するらしいですよ」と口を滑らせる可能性は捨てきれないのです。
そのため、最後まで少しでもストレスを少なく働くために、辞めることは師長以外には直前まで言わないで、退職日まで1週間を切ったあたりで、「実は…」とプリセプターと最も仲の良い同期にだけ伝えるようにして、それ以外の人には退職日の挨拶まで黙っておいたほうが良いでしょう。
<4>師長から引き留められることは覚悟して
新人看護師が辞めたいときのポイント4つ目は、師長から引き留められることを覚悟しておくことです。あなたが師長に「退職します」と伝えたら、十中八九、師長から「考え直してみて」と引き留められるでしょう。
でも、引き留められたからと言って「え~、どうしよう~。」と退職することを悩んでいては、「辞めたい」と思いながらも、いつまで経っても退職することができません。
引き留められても、「すみません。もう退職することを決めたので」と退職する意思が強いことを伝えて、退職手続きを取ってもらってください。
師長としてはあなたに辞めてほしくはないのです。なぜなら、新人看護師を採用し、育成するには時間もお金も手間もかかるからです。せっかく採用した新人看護師が辞めてしまっては、今までの時間やお金、手間が無駄になってしまいます。
また、新人看護師はみんな「辞めたい」と思いながら働いているのが普通ですから、引き留めれば退職の決意が変わるのではないかと期待を込めているのです。
でも、あなたが本当に退職したいのであれば、引き留められても、退職する意思は変わらないことをきちんと伝えるようにしましょう。
<5>診断書があれば退職時に上手に活用しよう
新人看護師が辞めたいときのポイント5つ目は、診断書があれば上手に活用することです。医師が就労困難との見解を示せば、師長としても引き留めるわけにはいきませんので、スムーズに円満退職することができます。
もし、あなたが体調不良を理由に辞めたい場合は、ただ師長に「体調が悪くて辞めたいんです」と伝えるよりも、医療機関を受診して診断書をもらい、診断書を提出しながら「体調が悪いので辞めたいんです」と伝えたほうが説得力がありますし、師長としては退職を認めざるを得ません。
診断書まで出ているのに、体調不良の新人看護師を無理やり働かせたことが漏れたら、監督不行き届きで問題になりますから。
そのため、あなたが体調不良で辞めたい場合は、師長に退職を申し出る前に医療機関を受診して、医師に相談し、診断書をもらうようにすると良いでしょう。
<6>辞める理由を明確にしてから転職求人を探そう
新人看護師が辞めたいときのポイント6つ目は、辞める理由を明確にしてから転職求人を探すことです。
あなたはなぜ今の職場を辞めたいと思っているのでしょうか?その理由が明確でないと、次の職場でもまた同じ失敗を繰り返すことになります。
辞めたい理由をハッキリさせれば、その理由・原因を解決できる職場を探せば良いので、同じ失敗を繰り返すことはなく、今度は長く勤めることができるでしょう。
もし、あなたが仕事についていけないと思って辞めるなら、もっとゆとりを持って働ける職場やあなたの仕事を覚えるスピードに合わせて仕事量を調整してくれる職場、あなたに合わせた指導をしてくれる職場を選びましょう。
夜勤で体調を崩したなら、日勤のみの職場や仕事に慣れて余裕ができるまでは夜勤を免除してくれる職場を、先輩看護師が怖くて辞めたいなら、先輩看護師が優しく温かい雰囲気の職場を、配属希望が叶わなかったから辞めたいなら、希望の部署に配属してくれる職場を選べばOKです。
「今の職場の全部が嫌!」という新人看護師さんもたくさんいると思いますが、そういう場合でも何が嫌なのかを箇条書きにしてみて、次はどんな職場を選べば良いのかを考えるようにしましょう。
<7>新人看護師は教育制度にこだわって
新人看護師が辞めたいときのポイント7つ目は、次の職場は教育制度にこだわることです。
あなたはまだ新人看護師ですので、一人前の看護師になるためには、覚えなければいけないことがたくさんありますから、教育制度が整っているところを選ぶべきです。
教育制度が充実していないところ、見よう見まねで仕事をしなければいけないところを選ぶと、与えられた仕事は何とかできるけど、その根拠や理由はわからないという中途半端な看護師になってしまいます。
そして、中途半端な看護師のままだと、看護師としての将来の選択肢が狭くなったり、好条件のところで働けなくなったりするデメリットがあります。
そのため、新人看護師が辞めたいと思ったら、次の職場は教育制度が整っていて、一人前の看護師として成長できるところを選びましょう。
<8>次の職場は第二新卒を採用しているところがベター
新人看護師が辞めたいときのポイント8つ目は、次の職場は第二新卒を採用しているところを選ぶことです。
第二新卒を採用しているところは、教育制度が整っていて、第二新卒の看護師が長く働けるような環境を整えていることが多いのです。
そのため、第二新卒を採用している病院を選べば、今度は辞めたいと思わずに長く働ける可能性が高いのです。
第二新卒とは「新卒で入職後、短期間のうちに退職した人たち」のことです。一度退職した新人看護師は「第二新卒」扱いになります。
第二新卒を採用している病院は、新人の時に辞めた看護師さんを積極的に採用していますので、一人前になるための教育制度が整っていたり、新人の頃に辛い思いをした経験を持っている人が多いので、新しく入職してきた人を温かく迎え入れ、その人のスピードに合わせて指導したりしてくれるのです。
第二新卒を採用している病院は絶対にそのような「当たりの病院」であるというわけではありませんが、「当たりの病院」の確率は高いですから、新人看護師が辞めたいときは第二新卒を採用している病院を中心に求人探しをすると良いでしょう。
<9>看護師以外の仕事に就くと年収は確実にダウン
新人看護師が辞めたいときのポイント9つ目は、看護師以外の仕事に就くなら年収は確実に下がることを覚悟しておくことです。看護師以外の仕事につくと、年収は100万円以上は下がってしまう可能性が高いのです。
厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査によると、看護師の平均年収は478万円です。そして、国税庁の民間給与実態統計調査(平成26年分)によると、民間の平均年収の平均は正社員の場合477万円です。
これだけ見ると、看護師の年収とほぼ同じですから、看護師以外の仕事に就いても、年収はほとんど変わらないはずと思うかもしれません。
でも、女性の正社員に限定した場合は359万3000円が平均年収になるんです。しかも、今の時代は看護師以外で女性が正社員になるのはなかなか厳しいですから、非正規雇用、派遣やバイトになってしまう可能性も低くはありません。
もし正社員以外の仕事になってしまったら、平均年収は147万5000円です。これを見ると、看護師の年収がいかに高いかがわかると思います。
【看護師と民間の平均年収】
|
看護師 |
民間正社員 |
民間非正規 |
---|---|---|---|
男性 | 486万6100円 | 532万3000円 | 222万円 |
女性 | 477万4900円 | 359万3000円 | 147万5000円 |
男女平均 | 478万3100円 | 477万7000円 | 169万7000円 |
出典:平成27年賃金構造基本統計調査 / 平成26年分民間給与実態統計調査結果
新人看護師は、女性が看護師以外の仕事に就いたら、ほぼ間違いなく年収が100万円以上下がってしまうことを覚悟しておきましょう。
<10>今楽なことを選ぶと将来後悔することも
新人看護師が辞めたいときのポイント10コ目は、今楽なことを選ぶと将来後悔することもあると知っておくことです。
新人看護師が辞めたい場合、次の職場は楽に働けるところを選びたいと思うはずです。でも、楽なことを優先して次の職場を選ぶと、将来の看護師としての選択肢が狭くなってしまい、損をすることもあるのです。
新人看護師が今の職場を辞めて、楽な職場で働くということは、医療行為が少なくて、怖いプリセプターがいない、面倒な研修や勉強会がないような介護施設やクリニックを選ぶことになるでしょう。
そのような職場を選んではいけない、絶対にダメだと言うつもりはありません。でも、そのような職場を選んでしまうと、その職場限定では仕事ができる看護師になることはできますが、どこに行っても即戦力として働けるような一人前の看護師になることはできないのです。
その職場で定年退職までずっと働いていくことを決めているなら、それでも良いでしょう。でも、今後看護師の仕事の面白さを知り、スキルアップしたいと思うようになるかもしれません。
また、結婚や妊娠、出産等でライフスタイルが変わり、転職しなければいけないこともあるでしょう。そういう場合、一人前の看護師ではなく、「その職場ではなんとなく仕事ができる看護師」だった場合、転職先は自ずと限られてきてしまいます。
せっかく好条件の求人を見つけても、「そのスキルでは、うちではちょっと・・・」と敬遠されてしまうのです。また、運よく転職できたとしても、「この看護師さん、経験年数の割にはイマイチ使えないのよね」とヒソヒソ噂話をされてしまうかもしれません。
ですから、新人看護師が辞めたい場合は、今楽をしたいというだけで次の職場を選ぶのではなく、長い目で将来的なことを考えて、次の職場を選ぶようにしましょう。
<11>お礼奉公中なら裏技を使って退職
新人看護師が辞めたいときのポイント11コ目は、お礼奉公中なら裏技を使って退職することです。
お礼奉公中に辞める裏技とは、立替一括返済制度がある病院に転職することです。立替一括返済制度がある病院に転職すれば、お礼奉公中に辞めても奨学金を一括返済しなくて良いのです。
お礼奉公中は決められた一定年数は、今働いている病院で働き続けないと、学生時代の奨学金を一括返済しなければならないのですが、この奨学金の一括返済が、辞めたい新人看護師の足かせになっていることも多々あります。
でも、お礼奉公中にどうしても辞めたいなら、あなたの代わりに奨学金を一括返済してくれる病院に転職すれば良いのです。もちろん、転職後は返済してくれた病院に少しずつ立て替えてもらった分を返済する必要はありますが、一括返済するなら、分割で返済したほうが経済的な負担は少なくなります。
そのため、お礼奉公をしている新人看護師さんは、立替一括返済制度がある病院を選んで、転職するという裏技を使えば、大金を用意せずにお礼奉公から逃げ出すことができるのです。
まとめ
新人看護師が辞めたいときは、この11コのポイントを押さえておけば、スムーズに円満退職することができますし、さらに次の職場選びにも失敗することはないでしょう。
辞めたいと思う新人看護師さんは、「私は看護師に向いていない」と思っているかもしれませんが、そんなことはありません。看護師に向いていない人は基本的にいないのです。ただ、今の病院があなたに合っていなかっただけと考えてみましょう。
転職して職場をかえて、あなたに合った職場で働けば、「私って看護師に向いているかも!看護師って楽しい!」と思えるようになるはずです。
◆この記事を読まれた方に人気の記事も合わせてお読み下さい。
看護師辞めたい時の「ナースレシピ」 TOP>>