PICUで働く看護師が辞めたい理由とその解決法
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
PICUで働く看護師が辞めたい理由
PICU(Pediatric Intensive Care Unit)は小児集中治療室のことです。子供専用のICUですね。
PICUは重症な子供の集中治療を昼夜問わずに行うところですので、PICUの看護師は「命を救っている」というやりがいを感じながら働くことができますが、PICUの看護師全員がやりがいを感じながら、活き活きと働いているというわけではありません。
「PICUを辞めたい。もう無理。」と思いながら働いている看護師さんもいるんです。PICUを辞めたいと思っている看護師さんは、どんな理由で辞めたいと思っているでしょうか?
命を預かるプレッシャーに耐えられない
PICUは子供専用のICUですので、重篤な子供ばかりが入院しています。一般的な成人向けのICUでも、「1つのミスが患者さんの命を奪ってしまうかもしれない」とか「この医療行為が患者さんの命に直結する」というプレッシャーを感じることが多々あります。
でも、PICUの看護師が感じるプレッシャーは、ICUとは比べ物にならないほど大きいんです。なぜなら、患者さんが子供だからです。
「子供=元気&健康であることが当たり前」という意識をみんな持っているので、PICUの看護師は「絶対に助けなければいけない」というプレッシャーを感じながら働くことになります。
また、小児の薬剤投与量は成人と比べて非常に細かく計算されていて、ほんの少し投与量を間違っただけでも、命を奪ってしまうことがあります。
PICUの看護師は毎日勤務のたびに、多大なプレッシャーと闘いながら働いていますので、そのプレッシャーに耐えられなくなると、「もうPICUを辞めたい」と思うようになるんです。
両親・家族対応がストレス
PICUの看護師にとって家族看護はとても重要な仕事の1つになりますが、PICUに入院している子供の家族看護をするのは、とてもストレスがかかるものです。
PICUに入院している子供の家族は、「ほかの子供はみんな元気なのに、なぜ自分の子供だけがこんなつらい思いをしなくちゃいけないのか」という怒りや不満を少なからず抱いています。
そのような行き場のない怒りや不満をPICUの看護師にぶつけてくることがよくあります。ストレートに怒りをぶつけてくるのならまだ良いのですが、理不尽なクレームを入れるなどの形で怒りをぶつけてくることもあります。
また、PICUには交通事故などで瀕死の重症を負った子供も入院しています。ついさっきまで元気だった自分の子供が、突然命の危機に瀕するようになったら、誰だって錯乱状態になりますよね。
仕事とはいえ、そういう両親・家族に対応して家族看護を行うのは、やはり精神的なストレスになります。特に、家族看護が苦手な看護師さんにとっては、PICUを辞めたいと思うほどのストレスになるのです。
夜勤が多くて体力的につらい
一般病棟では看護師の夜勤時間は72時間以内というルールがあり、2交代制の場合は月4回が平均回数になりますが、PICUは集中ケアを行うユニットになりますので、この72時間以内というルールの適用外となります。
PICUでは昼夜問わずに治療を続けなければならず、夜勤帯でもたくさんのスタッフが必要になるからですね。そのため、PICUの看護師は、2交代制の場合、月に6〜7回も夜勤に入らなくてはいけません。
異常の早期発見に努めるなどPICUでは一般病棟よりも高い緊張感を持って働く必要があります。ですから、長時間労働を強いられる夜勤は心身ともに疲労困憊になるんです。
夜勤が多くて生活リズムはグチャグチャ、さらにいつも疲労でクタクタだったら、「もう辞めたい」と思うのも自然かも知れません。
勉強会が多くてついていけない
PICUを辞めたいと思う理由の4つ目は、勉強会が多くてついていけないことです。PICUでは常に最先端の高度な医療を行っていますので、PICUの看護師は勉強を続けなければいけません。
自主的に勉強を続けるだけでなく、部署内での勉強会も頻繁に開催されますので参加しなければいけません。また、PICUの看護師は、「勉強するのは当然」、「どんどん新しいことを学びたい」、「スキルアップしたい」という熱意に燃えている人が多いんです。
でも、PICUの看護師の中には、「プライベートな時間を削ってまで、勉強はしたくないんだけど」という人もいますよね。また、周囲の看護師の熱意と自分の気持ちに温度差を感じて、職場で浮いてしまうということもあるでしょう。
勉強会が多すぎて負担に感じる、周囲の熱意についていけないという人は「PICUを辞めたい」と感じるんです。
命を預かるプレッシャーに耐えられずに辞めたい場合の解決法
命を預かるプレッシャーに耐えられずに辞めたいと思った場合は、PICUを辞めてほかの診療科や職場に異動・転職をすると良いでしょう。
もし、あなたがPICUはプレッシャーが大きすぎるけど、集中治療系のユニットで働きたい、集中ケアに興味があるという場合は、ICUやHCUで働くことをおすすめします。
ICUやHCUは集中治療を行うユニットですので、一般病棟よりは「命を預かる」というプレッシャーを感じます。それでも、患者さんは成人ですので、PICUよりはプレッシャーを感じずに済むでしょう。
あなたが子供が好き、小児看護に興味があるという場合は、小児科をおすすめします。小児科といっても多種多様です。小児科病棟・小児科外来・小児科クリニックでは、子供の重症度が違ってきますよね。
あなたが今PICUで感じているプレッシャーをどのくらい負担だと思っているのかによって、またどんな子供と接したいのか、どんな小児看護をしたいのかによって、どんな小児科で働くかを選ぶようにしましょう。
両親・家族対応がストレスでPICUを辞めたい場合の解決法
PICUでの両親や家族への対応をストレスに感じて、PICUを辞めたいと思っている人は、まずは部署内で家族看護が上手な先輩看護師を探しましょう。
家族への対応を見ていて「あ、この先輩の接し方って良いな。見習いたいな。」と思える先輩看護師はいませんか?そういう先輩看護師が家族対応をしているところをじっくり観察するんです。
そうすると、「こういう言い方をすれば良いんだ」とか「こんな風に接すると、家族も落ち着いてくれるんだな」という発見があるはずです。
また、そういう先輩看護師や師長に家族看護について悩んでいることを相談しましょう。師長は、看護師経験が豊富ですし、管理職になる前に家族看護について勉強をしていますので、家族看護が得意な人が多いんです。
先輩看護師や師長に、PICUでの家族看護のコツ、両親や家族への接し方のポイントなどを聞いてみましょう。その時に、「こっちは悪くないのに、理不尽なクレームが嫌」などあなたがどんなことをストレスに感じているのかを伝えると、より具体的なアドバイスをもらえるはずです。
また、先輩看護師や師長に家族看護で悩んでいることを伝えておくと、家族対応で困った時に、さりげなく助け舟を出してくれるようになるというメリットもありますよ!
夜勤が多くて体力的につらくてPICUを辞めたい場合の解決法
夜勤が多くて体力的につらいから、PICUを辞めたいと思っている場合は、師長に夜勤回数を減らしてもらえないかを交渉してみましょう。
もし、あなたが今、1ヶ月に7回の夜勤に入っている場合、それが月4回に減ったら、だいぶ負担は軽減されますよね。夜勤を免除してもらって日勤のみの勤務にしてもらうのが一番良いのですが、PICUの場合、それはなかなか難しいと思いますので、夜勤回数を減らしてもらうことから始めましょう。
もし、月4回に減らしてもらえて、体調が戻ってくれば、そのまま続ければ良いですし、どうしても体調が戻らない、体力的にきついという場合は、PICUを辞めて、ほかの診療科や職場に異動・転職してください。
いくらPICUでやりがいを感じていても、あなたが体力的に限界の状態で勤務を続けていたら、体調不良や燃え尽き症候群になるリスクが大きくなります。
そうなれば、看護師として働いていくことが困難になりますので、自分を守るためにも、早めに行動するようにしましょう。
勉強会が多くてPICUを辞めたい時の解決法
勉強会が多いことに負担を感じたり、同僚の看護師と仕事への熱意に温度差を感じて、PICUを辞めたい場合は、転職したほうが良いでしょう。
PICUは大病院にしかありませんので、あなたが今働いているPICUがある病院も大病院だと思います。大病院は教育制度が整っていますので、強制参加の院内研修が多いんですよね。
やる気がある同僚に囲まれて、「自主的な勉強+PICU内での勉強会+院内研修」をやらなければいけないのは大変です。
PICUから異動をすれば、PICU内での勉強会には参加しなくても良いのですが、院内研修には参加しなければいけません。また、PICUがあるような大病院の看護師は、PICU以外の部署でも仕事やスキルアップへの熱意を持っている人が多いのです。
そのため、勉強会が負担だったり、同僚との温度差を感じる場合は、院内異動をしてPICUから離れても、同じような悩みを抱えることになりかねません。
ですから、そこまでスキルアップに興味がなく、今はとにかくゆとりを持って働きたい、PICUでの疲れを取りたいという人は、異動ではなく、転職することをおすすめします。
小児看護を続けたいという人は、小さめの病院の小児科や小児科クリニックに転職すると良いですし、小児看護以外で興味のある診療科があれば、それにチャンレンジするのも良いでしょう。
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