転職に絶対失敗したくない看護師さんの「転職心得10か条」
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
看護師にとって、転職はその後の看護師人生を大きく左右するとても大切な転機です。
人生のターニングポイントとも言うべき転職は絶対に失敗できないですよね。
転職に絶対失敗しないためには、次の10か条を守って転職活動をしましょう。
- 円満退職をする
- 不用意に転職を周囲にもらさない
- 転職は焦らず計画的に
- 自己分析をしっかりする
- 求人が多い時期を見極める
- 全てを求めない
- 徹底的に転職先の情報を調べる
- 採用試験の対策は念入りに
- 条件面は書面で確認
- 転職後は新人のつもりで
この10か条を守って転職をすれば、転職に失敗することなく、「転職して良かった!」と心から思えるはずです。
1.円満退職をする
転職に失敗しないための心得1つ目は、円満退職をすることです。
今働いている職場を円満退職せずに、トラブルを起こした状態で退職すると、次の転職先に思わぬ形で伝わり、転職先でトラブルメーカーであると認識されてしまうリスクがあります。
看護師が退職するのは簡単なことではありません。
師長に退職の意志を伝えても、ほぼ100%の確率で「考え直してみて。今あなたに辞められると困るのよ。」のように引き止められるでしょう。
その師長の引き止め工作に真っ正面から反抗して、強行突破のように退職してしまうと、後味が悪いまま、次の転職先で働かなくてはいけません。
そうすると、せっかく新しい職場で心機一転働くのに、モチベーションが下がってしまいます。
また、師長同士の横のつながりは侮れないものがあります。
何らかの形で、あなたの職場での評判が転職先に伝わる可能性も否定できません。
円満退職をせずに、トラブルを抱えた状態で退職すると、それを良く思わない師長から、次の転職先に「この子は、トラブルメーカーよ」とか「この子は常識がなくて、自分勝手なことばかりするから気を付けて」のように悪く伝えられることもあるのです。
ですから、転職に失敗しないためには、今働いている職場を円満退職しましょう。
円満退職をするためには、次の3つに気を付けてください。
この3つに気をつければ、円満退職できると思います。
特に、退職1か月前など直前に退職を申し出てしまうと、あなたの代わりの看護師を探す時間がなく、師長も必死に引きとめようとします。
そのため、できるだけ早めに退職を申し出るようにしましょう。
そうすれば、あなたの代わりの看護師を探す時間的な余裕がありますので、師長もあなたを強く引きとめることなく、円満退職をすることができると思います。
2.不用意に転職を周囲にばらさない
転職を考える時には、同僚や先輩に相談したいと思うこともあると思いますが、不用意に転職を考えていることを周囲の人にばらしてしまうのは危険です。
周囲の人に転職することを話してしまうと、円満退職できずに、転職に失敗してしまうこともあるのです。
例えば、あなたの職場が人手不足だった場合、あなたが転職してしまうと、残った人にしわ寄せが来ます。
それを良く思わない人たちは、あなたが師長に退職を報告する前に、師長に悪いように告げ口をしてしまい、円満退職できないかもしれません。
また、あなた以外にも同じ時期に転職を考えている人がいたら、同時期に2人も退職できないので、あなたよりも先に抜け駆けして、師長に「退職します」と伝えてしまうこともあります。
そうしたら、あなたは希望した時期に退職できなくなってしまうかもしれないのです。
たくさんの人に転職を相談すると、いろいろな意見を聞けるというメリットはありますが、どの意見が正しいのかを判断できなくなってしまうコトもあります。
また、結局、みんな看護師の転職に関しては素人ですので、参考になるアドバイスはなく、間違ったアドバイスしかないかもしれません。
そのため、不用意に転職を周囲にばらしたり、たくさんの人に相談しない方が転職に失敗せずに済むでしょう。
3.転職は焦らず計画的に
焦って転職しても良いことは1つもありません。
転職に失敗したくないなら、計画的に転職活動を進めましょう。
「あぁ!もうこんな職場は嫌!今すぐ転職する!」と今の職場を辞めたいから、できるだけ早く転職したいと考える人が多いかもしれません。
でも、そのように焦って転職した場合は、たいてい転職に失敗します。
なぜなら、焦って転職すると、求人を選ぶ時に妥協するからです。
焦って今すぐ転職しようと思った場合、たくさんある求人をじっくり探さずに、「あぁ、もう時間もないし、この求人でいいか」のように求人を決めることが多いのです。
でも、妥協して決めた求人は、どこかしらに不満が残ります。
また、しっかり調べた上で求人を選ばないので、転職後に「こんなはずじゃなかった。これでは転職した意味がない」と思ってしまうリスクが高くなります。
せっかく転職するのですから、焦って妥協するのはもったいないと思います。
焦って転職すると、「転職失敗だ!また転職するしかないかな・・」と早期退職して、また再転職をすることになるのです。
そうしたら、次の転職は、「早期退職をした」ということがクローズアップされますので、どうしても不利になるのです。
今すぐ転職したい気持ちもわかりますが、もう少しだけ我慢しましょう。
「あと3ヶ月でここを退職できる」というタイムリミットが決まっていれば、気持ちに余裕が出てくるものです。
そうすれば、今すぐ辞めたいほど嫌な職場も、「退職まであと○日!」とカウントダウンしながら、何とか我慢できると思います。
そのため、転職する時には、焦って転職するのではなく、計画的に転職活動を進めましょう。
できれば、転職活動のための期間は3ヶ月程度は見ておくことをおすすめします。
4.自己分析をしっかりする
転職に失敗しないためには、自己分析をしっかりと行いましょう。
自己分析を行わず、「なんとなく」の状態で転職すると、失敗する可能師が高くなります。
これらのことをしっかりと明確にしてから転職活動を行わないと、転職失敗まっしぐらです。
例えば、年収に惹かれて転職先を決めたら、思ったような仕事内容ではなくて失敗したということもあります。
「今の仕事が嫌だから」という理由で転職する人も、どんな仕事をしたいのか、どんな看護をしたいのか、転職先に求めるものは何かをきちんと自己分析しましょう。
頭の中が上手く整理できないという人は、まずは紙に転職理由や転職先に求めること、自分のしたい看護を書き出してみましょう。
そうすれば、頭の中が整理できますので、求人選びに失敗するリスクを減らすことができるでしょう。
5.求人が多い時期を見極める
転職に失敗しないためには、求人が多い時期を見極めることが大切です。
求人が多い時期に転職活動をすれば、それだけたくさんの選択肢の中から求人を選べますので、理想に合った求人を見つけられる可能性が高くなります。
逆に、求人が少ない時期に転職活動をすると、妥協して求人を選ばなければいけなくなってしまうのです。
厚生労働省の「職業別労働市場関係指標」によると、看護職(看護師、保健師、助産師)の平成28年の有効求人倍率の月別推移は次のようになっています。
月 | 有効求人倍率(含パート) |
1月 | 2.87 |
2月 | 2.79 |
3月 | 2.64 |
4月 | 2.27 |
5月 | 2.18 |
6月 | 2.25 |
7月 | 2.34 |
8月 | 2.36 |
9月 | 2.37 |
10月 | 2.43 |
11月 | 2.53 |
12月 | 2.77 |
これを見ると、12月〜2月が最も求人数が多く、4〜6月が最も求人数が少ない時期であることがわかります。
そのため、看護師が転職に失敗しないためには、12月〜2月に求人探しをするとより良いでしょう。
6.全てを求めない
転職をする時には、転職先に全てを求めないようにしましょう。
あれもこれもと全てを転職先に求めてしまうと、結局は良い求人を選べずに、中途半端な求人を選ぶことになってしまう可能性があります。
「せっかく転職するのだから、求人選びに妥協したくない」という気持ちは分かります。
誰だって、転職に失敗したくないですし、求人選びに妥協したくないですから。
でも、全てを求めてしまうのは危険です。
例えば、給料も平均以上、年間休日は130日、有給消化率は80%以上、人間関係が良くて、福利厚生も手厚い、教育制度が整っていて、体力的にも精神的にも楽な仕事。
さらに日勤のみで、残業はゼロ、希望の部署に配属になる。
誰だって、このような職場に転職したいと思いますよね。
でも、こんなに全ての条件がそろっている職場は、そうそうありません。
もし、全てが揃っている職場があったとしても、その職場の人は退職しないので、求人が出ることがほぼないのです。
それなのに、全てが揃っている求人を探し求めていると、なかなか求人を決めることができず、タイムリミットが迫ってきて、結局は「これで良いか」という決め方になってしまいます。
それなら、自分の中で「これだけは絶対に譲れない」という条件を決めて、それだけは確実に満たすような求人を選んだ方が、間違いなく転職後の満足度は高くなり、転職に失敗せずに済むでしょう。
先ほど、自己分析の説明をした時に、なぜ転職するのかや、どんな看護をしたいかなどを書き出すことをおすすめしましたが、次は転職先に求める条件を箇条書きで書きだしてみましょう。
そして、その中から「これだけは譲れない」という3つを選んで、それを満たす求人を探すようにすると良いと思います。
7.徹底的に転職先の情報を調べる
求人選びをする時には、求人情報に書いてあることだけでなく、徹底的に転職先の情報を調べるようにしましょう。
これが、転職失敗を回避する最も重要なことかもしれません。
転職先のことを徹底的に調べれば、「地雷求人」を避けることができるのです。
求人情報には、基本的に悪いことは書かれていません。
良いことのみしか書かれていないと思ったほうが良いでしょう。また、求人情報だけでは見えてこないこともあります。
例えば、職場の人間関係や師長の人柄、離職率などは、求人情報ではわからないことです。
また、月平均残業時間や有給休暇の消化率、昇給率なども調べておくようにしましょう。
ママさん看護師は、院内託児所の利用条件や利用料金なども調べておきたいポイントです。
さらに看護師の業務範囲も調べておくべき項目です。
職場の人間関係 | 師長の人柄 |
離職率 | 月平均残業時間 |
有給休暇の消化率 | 昇給率 |
院内託児所の利用条件や利用料金 | 看護師の業務範囲 |
病院の場合、介護士(看護助手)がいるかいないかで、看護師の体力的な負担は大きく異なります。
看護助手といっても、体位交換など介護業務をしてくれる看護助手もいますが、洗い物や滅菌作業、清掃、物品補充などが専門の看護助手もいますので、注意してください。
介護施設の場合は必ず介護士さんがいますが、看護師は介護業務をどのくらい手伝うのかは、とても重要なポイントになります。
「介護士がいる=看護師は介護業務を行わなくて良い」と言うわけではないのです。
転職に失敗しないためには、求人情報だけを鵜呑みにせずに、そのほか気になる情報も徹底的に調べるようにしてください。
仕事をしながら自分一人で調べきれない場合は、転職支援サイトを利用すると、専属のコンサルタントが希望病院についての詳細データを調査して、教えてくれるので便利でしょう。
8.採用試験の対策は念入りに
転職に失敗しないためには、採用試験の対策は念入りに行いましょう。
採用試験に合格しないことには、転職できませんので、自信を持って採用試験に臨めるようにしておく必要があります。
看護師の採用試験は、面接に重点が置かれます。
履歴書以外、面接試験のみで選考するというところも珍しくありません。
そのため、面接での想定質問への答えは自分の言葉でスムーズに答えられるように考えておきましょう。
面接の質問にスムーズに答えるためには、自分の看護観を見つめ直すことや、転職先の病院等の理念や方針を理解しておくことが大切です。
面接中の振る舞いも重要になりますので、就活用の本などで、基本的なビジネスマナーも勉強しておき、家族相手に模擬面接を行っておくと安心です。
また、作文や小論文を課すところもありますが、そういう時はまずは指定の文字数の文章を書き慣れることから始めましょう。
文章を書き慣れていると、どんなテーマが出されても、ある程度対応できるようになると思います。
9.条件面は書面で確認
採用試験に合格したら、給料や就業時間、その他の条件は書面にしてもらって確認しておきましょう。
もし、入職後に「条件と違うんだけど」という事態になった場合、口頭での確認だけでは、「言った」、「言わない」の水掛け論になってしまいます。
書面できちんともらっておけば、証拠が残りますので、「ここが事前に聞いていた条件と違うのですが」と主張することができるのです。
例えば、4週8休+祝日分の休みという約束だったのに、実際は祝日分の休みは貰えない、それどころか4週7休しか休めなかったとします。
「4週8休+祝日分」という休日条件を口頭で伝えられただけだと、「約束と違うんですけど」と訴えても、師長に「そんなこと言ってないわよ」と言われて終わりです。
でも、書面で貰っておけば、「ここにはこう書いてあるのに、どうして違うのですか?」と言えるのです。
また、書面で条件をきちんと明記してくれるような職場は、そのような「実際は違う」ということが起こりにくいのです。
もし、条件を書面でくれないような転職先は、怪しいと思って内定を辞退したほうが無難かもしれません。
10.転職後は新人のつもりで
経験が豊富な看護師さんは、転職後も即戦力としてすぐに働けると思いますが、それでも気持ちは新人のつもりで働くようにしましょう。
それが転職失敗を避けるコツです。
せっかく希望した転職先に入職できても、入職後につまづいてしまったら、転職失敗になってしまいます。
「私は経験者で、ここの人たちよりも仕事ができるから」と思って働くと、ついついそれが態度に出てしまって、敬遠されてしまいます。
そうすると、転職先の人たちと上手く付き合うことができず、人間関係に悩むことになってしまいます。
また、「最初から仕事ができます!」という雰囲気だと、丁寧に指導してもらえないので、結局はそこでの仕事を覚えるのに時間がかかってしまうのです。
物品配置や看護記録の書き方、入退院や検査の書類・伝票の取り扱い、ルーティンの仕事の順番など細かい部分は、その職場によって異なりますので、どんなベテランの看護師さんでも、最初は仕事を教えてもらわないといけないのです。
あなたは、今の職場に中途採用の看護師さんが入ってきた場合、「自信満々の看護師さん」と、「腰が低くて新人看護師のように頑張る看護師さん」では、どちらと仲良くなりたいと思いますか?
どちらの人に、仕事を親切に教えてあげようと思いますか?
もちろん、腰が低くて新人のような看護師さんですよね。
中途採用で入職してきたばかりなのに、自信満々の看護師さんは、私だったら、「この看護師さんは、私なんかが教えなくても仕事ができそうだから、変に教えない方が良いかも」と思ってしまいます。
もし、自分が教えてあげる立場だったら、どんな看護師さんに教えたいかを考えると、転職後はどういう振る舞いをすべきなのかが見えてくるのではないでしょうか。
転職先で早く仕事を覚えるためにも、円滑な人間関係を築くためにも、転職後は新人のつもりで頑張りましょう。
まとめ
看護師が転職に失敗しないための心得10か条をまとめました。
転職は看護師人生の大きなターニングポイントですから、絶対に失敗したくないですよね。
失敗してから後悔しても遅いですので、絶対に失敗しないために、ここでまとめた心得10か条を実践して転職活動を行いましょう。
転職先の情報を徹底的に調べるためには、転職支援サイトを利用することをおすすめします。
転職支援サイトを上手に利用すると、担当コンサルタントが細かい部分まで調べて教えてくれるので、簡単に転職先の情報を調べることができます。
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