看護師独特の濃厚な人間関係から、するりと抜け出す方法
[著者: 東奈津子 (看護師 /社会保険福祉士).more..]
看護師にとって仕事を辞めたい理由はひとつではありません。
しかし最も大きい理由としては、人間関係の難しさがあげられるでしょう。
看護師の職場は女性が多く、それだけに独特の濃厚な人間関係ができやすい傾向があります。
人間関係のトラブルでせっかくの職場を辞めずにすむように、上手に生き抜くコツを身につけましょう。
看護師は職場の人間関係が密になりやすい職業
photo: AlamosaCounty PublicHealth
そもそも、なぜ看護師は、それほど職場の人間関係が密になりやすいのでしょうか。
いくつかの理由が考えられますが、大きなものは次の4つと考えられます。
- 男女の割合的に見て、圧倒的に女性が多い特殊な職場であるから
- 職場とプライベートな人間関係が重複して、区別がつかなくなるから
- 単独で働くことよりチームで動く場面が多いから
- それぞれが明快な意見を持っているから
さらに悪いことに、これらの理由は複数が重なっていることが多く、職場の人間関係は良くも悪くも非常に密接になりがちです。
そして密接につながった人間関係が悪い方向へ働いてしまうと、看護師が「もうこの職場では働きたくない!」と思うほど、こじれてしまいます。
看護師が、転職しようかなと思うのは、うまく行かない人間関係に見切りをつけて、新しい場所でやり直したいと思うからなのです。
今回は、ナースレシピ「人間関係で看護師を辞めたい!と思わないための8つのポイント」を参考にして、悩める看護師の役に立つ人間関係の極意を4つご紹介しましょう。
1.女性ならではの密接なつながりは、やんわり断る
まずは、女性職場ならではの非常に密接な人間関係についてです。
女性は男性と違い、特定の人と密接になることで精神的なサポートを得ようとすることがあります。
そのため、職場内はもちろん、業務終了後に飲みに行ったり食事に行ったりすることで、仲良くなろうとすることが多く、人間関係はどうしても密になりがちです。
しかし職場には仕事に来ているのですから、業務に支障が出るほどの密接なつながりを同僚と持つ必要はありません。
仕事が終わったというのに、延々と職場の人間関係を引っ張ったままというのは、気持ちの切り替えがしにくい状況です。
疲れていて自分のための時間がほしいと思ったら、迷わず業務後の誘いを断りましょう。
あまり強く断るとカドが立ちますので、体調が悪いことや、ほかに用事があることを伝えて、やんわりとお付き合いの回数を減らすことです。
一方で女性特有のうわさ話などもありますが、ここは適当に相槌を打っておくことです。
当たらずさわらずで、うまく受け流せば、派閥に引き入れられることもなく、密接すぎる人間関係から距離を置くことができます。
2.職場は仕事の場だと割り切ろう
photo: https://upload.wikimedia.org/
もし同僚や先輩の遊びの誘いを断り続けてすっかり孤立してしまったら、どうしましょうか。
この場合は、職場は仕事の場だと割り切ることが大事です。
「職場の中にうまく溶け込めていない」という悩みは、多くの看護師が持っているものです。
うまく溶け込みたいから業務後のお誘いを断れず、いつのまにか特定のグループに取り込まれてしまって、身動きができなくなったというケースは少なくありません。
しかし、職場というのは仕事をするところです。
やるべき業務をきちんとこなして、職場にとって必要不可欠な人材となれば、いじめも孤立も自然となくなります。
仕事がしやすくなるからと言って無理に遊びに付き合うよりも、自分の看護師としてのスキルを磨き、レベルアップすることで、職場の人間関係から影響を受けない立場に立てるようになります。
同僚にどんなイヤミなことを言われても、患者さんからみていい看護師であるならば、それで問題はありません。
その病棟では大事にされるでしょうし、いざとなったら転職先にも困らないのです。
3.チームで働く職場こそ、仲良しを作らない
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看護師は、相互に助け合って働く仕事です。
ペアやチームなど複数の看護師が協力しあって、はじめて病棟もクリニックも機能し始めますから、チームワークが不可欠の職種だといえるでしょう。
だからこそ、チーム内で特別に仲のいい人を作らないことも、人間関係のトラブルに巻き込まれにくくなる秘密です。
こう言われると反対に、「仲良しを作っておいた方が動きやすいのではないか」と思うかもしれません。
しかしチームナーシング制をとっている職場では、どんな人とでもチームを組む可能性があります。
時には仲のよくない人と一緒に働くことになりますから、メンバー全員と同じような距離の取り方をするのが賢明です。
だれと組むことになるか分らないからこそ、チーム内の人間関係を極力希薄にすることが、かえって看護師の身を守ることになります。
4.状況によっては、相手の意見を聞き流そう
濃厚な人間関係を逃れるコツの一つとして、相手の意見を尊重しつつも適度に聞き流すというテクニックがあります。
看護師の職場にはとても幅ひろい年齢層のスタッフが働いています。
20〜60代、職場によってはそれ以上の年齢差の看護師がいっしょに動くのですから、看護観の違いがクローズアップされる場面もでてきます。
年代によって受けてきた看護教育も変わっているのですから、さまざまな看護観がぶつかり合うのは当たり前なのです。
ただし、異なる看護観を持った看護師同士は人間関係のトラブルを起こしやすい。
トラブルに巻き込まれないためには、相手の話を傾聴しつつも、それに振り回されないことが大事なのです。
物事に対する価値観というのは、非常にデリケートです。
尊重しつつ受け流すという高度なテクニックが必要とされますね。
もし人間関係のトラブルに巻き込まれてしまったら?
さまざまな手を尽くして、職場の人間関係に対応してきても、いつの間にかトラブルに巻き込まれていることもあるでしょう。
そんな時はどうするか?
先にご紹介した、ナースレシピ内の「人間関係で看護師を辞めたい!と思わないための8つのポイント」には、具体的な8つのコツが書いてあります。
「意識して挨拶をする」「いつもニコニコしておく」などという、仕事以外の場面でも応用できるコツのほか、「同僚と無理に仲良くしようとしない」という意外なアドバイスもあります。
いずれも、感情的になりがちな人間関係のトラブルの熱を冷まして、看護師のモチベーションを維持させるものです。
看護師の仕事は、やる気だけが先行してもうまく行きません。
Cool Head,but Warm Heart. (冷静な判断力と暖かいハートの両立)
これは、看護師の理想としてよく使われる、イギリスの経済学者、アルフレッド・マーシャル(Alfred Marshall)の言葉です。
看護師が、患者さんに対応する時に心得ておくべき言葉として、よく引用されますね。
看護師の職場内での、人間関係のトラブルにも同じことが言えます。
相手に対して冷静な判断をする局面があっても、温かいハートで対応するゆとりがあるとうまく行くでしょう。
職場はここだけでない、ということを常に頭に入れておこう
職場内の複雑な人間関係を回避するために、テクニックを駆使する。
しかし、どうしても逃れられないトラブルに巻き込まれるケースもあります。
そんなときは「働く場所はここだけではない」と考えるのも大事です。
実際に転職するかは別として、今の職場以外にも働けるところがあると思うことで、自分自身の意識にゆとりが生まれます。
余裕があれば、密接な人間関係は必要になりませんし、むしろ距離を置いて相手を見ることができ、良好な関係を維持しやすくなります。
仕事のモチベーションも維持しやすくなりますから、ちょっと頭の中に転職の可能性をいれておくこともおすすめです。
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