脳神経外科の看護師が辞めたい理由とその解決法
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
脳神経外科で働く看護師が辞めたい理由
脳神経外科で働く看護師はやりがいを感じながらいきいきと働いているように思えますが、実は「もう脳神経外科を辞めたい」と思いながら働いている看護師さんも結構多いのです。
看護師が脳神経外科を辞めたいと思う理由にはどんなものがあるのでしょうか?
残業が多い
脳神経外科では、オペの患者さんがたくさんいます。これは外科だから当たり前のことなんですが、脳神経外科のオペは予定通りに進まないことも多いんです。
オペ終了の時間が予定よりも遅れると、患者さんがオペ室から戻ってくる時間が夜勤帯にずれ込んでしまうこともあります。
夜勤は看護師の人数が少ないですよね。その少ない人数で、オペ後の看護をするのは難しいので、日勤の看護師が残業して、オペ戻りの対応をすることになります。
また、脳神経外科は患者さんの急変や緊急オペも多いので、看護師は毎日のように残業をしなければならず、あまりに残業が多すぎて、ほかの診療科で働く看護師さんをうらやましく思い、脳神経外科を辞めたいと思うようになるのです。
急変が怖い
脳神経外科では急変が日常茶飯事です。脳のオペをする診療科ですから、オペ後に脳浮腫を起こす可能性が高く、急変が多いのはある意味仕方がないことと言えます。
でも、急変対応が苦手な看護師さんにとっては、急変が起こることが怖いと感じるものです。急変対応が苦手なのに、毎日のように急変が起こっていたら、「もう嫌!脳神経外科なんて辞めたい」と思ってしまうんです。
患者さんとのコミュニケーションが難しい
脳神経外科は脳の疾患を扱うことが多いので、意識がクリアな患者さんが少なく、患者さんとコミュニケーションを取るのが難しいことが多々あります。
そのため、どんなに頑張っても患者さんから「ありがとう」と言われることが少なく、やりがいを感じないこともありますし、患者さんとゆっくり話しながら看護をしたいと思っている看護師さんにとっては、脳神経外科を辞めたい、意識がクリアな患者さんが多い診療科で働きたいと思うようになります。
体力的につらい
脳神経外科は、その疾患の特性上、ベッド上安静や寝たきりの患者さんや四肢に麻痺がある患者さんが多いですよね。
ADLが低い患者さんが多いと、看護師は体位交換や食事介助、排泄介助、入浴介助、移動介助などの介護業務が増えますし、力仕事が多くなりますので、体力的にきついんです。
それでなくても、脳神経外科はオペ出しやオペ戻り、急変対応などで常にバタバタと忙しく激務ですから、「体力的にもう無理。辞めたい」と思うようになるのも仕方ないことと言えるかもしれません。
残業が多くて辞めたい場合の解決法
残業が多くて辞めたい場合は、師長に業務整理を提案してみましょう。病棟内での業務をすべて見直してみると、無駄なもの、簡略化できるもの、省略できるものが出てくることがあります。
それらの無駄な仕事をなくして、業務整理をすれば、仕事量が少なくなりますので、残業時間も減るはずです。
ただ、オペの予定時間が遅くなる、オペ戻りが夜勤帯にずれ込んでしまう等は、業務整理をしてもどうしようもないことです。
そのため、どうしても残業をしたくない場合は、急性期の脳神経外科ではなく、回復期・慢性期の脳神経外科で働くと良いでしょう。回復期・慢性期なら、脳神経外科でもオペはありませんし、急変も少ないので、残業せずに定時で帰れることが多いんです。
急変が怖いから辞めたい場合の解決法
急変が怖いから辞めたいと思う場合は、ちょっと考え方を変えてみましょう。急変対応は看護師としてスキルアップできるチャンスなんですよ。
脳外科での急変対応がテキパキできるようになれば、今後どこの診療科に転職しても重宝されること間違いなしです。ですから、脳外科で働いている今のうちに頑張ってスキルアップしておきましょう。
急変は確かに怖いものです。そして、最初から急変対応がテキパキできる看護師さんんなんていないんです。あなたの職場にも、急変対応が得意で、テキパキ動ける先輩看護師がいると思います。でも、その先輩看護師だって、最初は急変が怖くて、逃げ出したいと思っていたはずですよ。
ですから、あなたもちょっとだけ頑張ってみましょう。急変対応が得意になるコツは、予測と振り返り、そして慣れです。
まずは、勤務前にその日の受け持ちの患者さんの情報収集をしたら、「もし患者さんが急変するとしたら、どういう状態になって、どういう処置が必要か、どういう薬剤を使うか」を予測しておきましょう。
また、急変しそうな患者さんがいたら、あらかじめ救急カートを病室の前に置いておくなど準備をしておいても良いでしょう。
「急変が起こるかも。もし起こったら、こうなるかも」と予測しておけば、いざ急変が起こっても、予測していない時よりも落ち着いて動けるはずです。
そして、急変対応をした場合は、急変が落ち着いてから、またはその日の勤務終了後に一緒に急変対応をした先輩に振り返りをお願いしま しょう。
どこが良かったか、どうすればもっと的確に動けたのかなどを第三者の視点から指摘してもらえば、「次はこうしよう」など自分では見えなかった改善点が見つかるはずです。
また、はっきり言って、急変対応は「慣れ」が重要です。いかに数多くの急変対応をこなすかが、急変対応への苦手意識をなくすためには最も重要なことなのです。
患者さんとのコミュニケーションが難しいから辞めたい場合の解決法
意識がクリアな患者さんが少なく、患者さんとのコミュニケーションが取れにくいから辞めたい場合は、違う診療科や施設に異動・転職したほうが良いでしょう。
言葉での会話だけが患者さんとのコミュニケーション手段というわけではありませんが、それでも脳神経外科の患者さんとのコミュニケーションが難しいことには変わりありません。
コミュニケーションが難しいことで、やりがいを感じない、理想の看護できないのであれば、脳神経外科から離れて、違う職場で働くことは、決して悪いことではありません。むしろ良いことだと思います。
やりがいや理想の看護は人それぞれです。10人の看護師がいれば、10通りのやりがいや理想の看護があって良いのです。あなたはたまたま脳神経外科の看護が合わなかっただけですから、罪悪感を持つ必要はありません。
やりがいを感じない、理想の看護ができない職場で働いていても、仕事へのモチベーションは上がらず、働いていても楽しくありませんし、スキルアップへの意欲もわかないでしょう。そういう職場で働いていても、あなたの看護師人生でマイナスにしかならないのです。
やりがいを感じて理想の看護ができる職場なら、毎日楽しく意欲を持って働けますから、あなたにとって間違いなくプラスになります。
意識がクリアな患者さんが多い職場は、外来やクリニックですが、病棟だと産婦人科や整形外科、糖尿病内科などがおすすめです。
体力的につらいから辞めたい場合の解決法
脳神経外科で働いていて、力仕事が多くてつらいから辞めたい場合は、ボディメカニクスを見直しましょう。
ボディメカニクスを用いれば、最小限の力で患者さんの介助ができますので、今よりも体力的に楽になるはずです。
足を広げて基底面積を広くする、腰を落として重心を低くする、指や手だけでなく大胸筋や大臀筋など大きな筋肉を使うなどを意識するようにしましょう。
ボディメカニクスをきちんと使っているか、使っていないかで、体力的な疲労は大きく変わってきます。体位交換や移動介助をする時は、ボディメカニクスを意識して行うようにしましょう。
それでも、体力的につらい、疲労困憊という場合は、脳神経外科の外来へ異動したり、急性期ではなく回復期や慢性期の脳外科病棟へ転職したり、ほかの診療科で働くと良いでしょう。
外来ならADLはある程度自立している患者さんが多いですし、回復期や慢性期は介護士さんがいますので、脳神経外科でも体力的には比較的楽でしょう。ほかの診療科もADLが高い患者さんが多いところを選べば、体力的な問題は解決します。
いくら今の仕事にやりがいを感じていたとしても、あまりにも体力的につらいのに我慢して働いていたら、いつか体を壊してしまいます。そうすると、看護師として働くことができなくなりますから、自分自身を大切にするためにも、今の職場を離れて、体力的に楽な職場で働くようにしてください。
「ナースレシピ」のオススメは、「はたらこねっと」「バイトル」などでおなじみの東証一部上場企業、ディップ株式会社の「ナースではたらこ」です。全国をカバーする、最新の非公開求人がたくさんあると評判です!
看護師辞めたい時の「ナースレシピ」 TOP>>