救急外来の看護師が辞めたい理由とその解決法
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
救急外来で働く看護師が辞めたいと思う理由
救急外来で働く看護師は、「仕事ができてかっこいい看護師」とか「救急外来での仕事にやりがいを感じてるんだろうな」などのイメージがあると思います。
でも、救急外来で働く看護師全員が「救急外来での仕事にやりがいを感じている!仕事が楽しい」と感じているわけではありません。救急外来を辞めたいと思いながら働いている看護師さんもいるんです。
救急外来で働く看護師は、どんなことで辞めたいと思うようになるのでしょうか?
テキパキ動くことができない
救急外来では救急車で搬送されてきた患者さんの処置を行いますが、患者さんの中には一分一秒を争うような深刻な状態で搬送されてくる人もいます。そのため、救急外来の看護師はテキパキと動いて、患者さんの命を助けなければいけません。
でも、救急外来で働くと、自動的にすぐにテキパキ動けるようになるというわけではありませんよね。テキパキ動くことが苦手なのに、救急外来に配属になってしまったという看護師さんもいます。
そういう看護師さんは、うまく動くことができない自分を責めてしまいますし、医師や同僚の看護師に「早く動いて!」などと文句を言われることもありますので、救急外来を辞めたいと思うようになるんです。
モンスターペイシェントやクレーム処理にうんざり
救急外来では、来院順に診察するわけではありません。重症度に応じて、診察の順番が前後することがよくあります。これは、患者さんの命を救うために仕方がないことですよね。
また、救急外来では1日分しか内服薬を出すことができません。これらの特別な事情があるため、患者さんからのクレームは多いですし、モンスターペイシェント化する人も多いんです。
ただでさえ、救急外来は忙しいのに、些細なことでクレームやモンスターペイシェントの理不尽な要求に対応していたら、仕事は進まないし、精神的な負担も大きくなりますので、もう救急外来を辞めたいと思うのも仕方がないことと言えます。
救急外来の医師が頼りなくて怖い
救急外来の夜間当直医は、アルバイトの若手医師が多いんです。医師の国家試験に合格し、2年間の研修を修了したばかりの医師は、まだまだ医師としてはひよっ子で、経験不足ですよね。
でも、その医師が救急外来で診療を行うんです。しかも、救急外来は自分の専門の診療科以外の患者さんも診なければいけません。
そのような職場で働くのは不安ですよね。医師が「う〜ん、この診断で良いのかなぁ?たぶんそうだと思うんだけど、自信がないなぁ。看護師さんはどう思います?」なんて言われたら、その医師の指示に従うのは怖いですし、患者さんが心配ですよね。
こういうことが続くと、救急外来で働くのが怖くなり、辞めたいと思うようになります。
残業や夜勤が多い
救急外来はいつ救急車が来るかわかりません。勤務終了間際になって、立て続けに救急車が来ることも珍しくないんです。
また、どんな疾患の患者さんが来るかわかりませんから、1人の患者さんの処置にかかる時間も不明です。そのため、救急外来はどうしても残業が多くなってしまうんです。
そして、日勤帯は一般外来が開いていますので、救急外来は救急車が来た時だけの対応で良いのですが、夜勤帯は救急車の対応に加えて、自力で来院する患者さんの対応もしなくてはいけないので、日勤よりも夜勤のほうが看護師を多く配置しているんです。
そのため、救急外来の看護師は日勤よりも夜勤のほうが多くなります。残業は多いし夜勤も多いなら、もう辞めたいと思うのも無理はありませんよね。
テキパキ動くことができないから辞めたい場合の解決法
テキパキ動くことができないから、救急外来を辞めたい場合は、救急外来に多い疾患の処置の流れや対応方法を覚えるようにしましょう。
心筋梗塞疑いや脳卒中疑いの場合は、どんな処置をして、どんな検査をして、どんな薬を使い、どんなことに注意して患者さんの観察をすれば良いのかを知っておくと、いざという時に慌てずに済みます。
また、腹痛や嘔吐、頭痛などの症状別に考えられる疾患を知っておくだけでも、少しずつテキパキ動けるようになるはずです。
また、AHA(アメリカ心臓協会)推奨のBLS(一次救命処置)やACLS(二次救命処置)の講習を受けたり、日本救急看護学会のセミナー等を受講すると、救急外来で働くことに自信を持てますので、少しずつ救急外来での仕事に慣れることができるでしょう。
モンスターペイシェントやクレーム処理にうんざりして辞めたい場合の解決法
モンスターペイシェントやクレーム処理にうんざりして辞めたい場合の解決法は、師長にお願いして、部署全体もしくは病院全体で「モンスターペイシェントやクレーム処理のマニュアル」を作ってもらうようにすることです。
きちんとしたマニュアルを作ってもらえば、事務的に対応できますので、対応時間を短くできますし、精神的な負担も減りますよね。
また、あまりにもクレームが多いようであれば、クレーム処理をしてくれる事務当直を1人増やしてもらえないかをお願いしてみましょう。
それでも、モンスターペイシェントの対応が苦痛であれば、救急外来から異動・転職をしたほうが良いでしょう。救急外来はほかの診療科よりもクレームが多いんです。救急外来で働いている限り、モンスターペイシェントやクレームと無縁というわけにはいきませんから。
それなら、モンスターペイシェントやクレームが少ない診療科や施設でのびのびと働いたほうが良いと思いませんか?
どの診療科や施設もクレームがゼロというわけではありませんが、小児科や産婦人科、NICU等以外なら、たいていのところは救急外来よりもクレームは少なめですし、意識のない患者さんが多い診療科や施設ならより少ない傾向にあります。
救急外来の医師が頼りなくて怖いから辞めたい場合の解決法
救急外来の医師が頼りなくて怖いと感じて、救急外来を辞めたいと思っている看護師さんは、救急外来ではなく、救命救急センターで働いてみてはいかがでしょうか?
救急外来の医師を頼りなく感じるということは、救急医療・救急看護の知識を十分に持っていて、さらにやりがいを感じているんだと思います。だから、救急外来の医師を頼りなく思うんですよね?
救命救急センターで働けば、救急看護の仕事を続けることができますし、3次救急のより重症な患者さんを看ることができます。
さらに救命救急センターは救急医学科の医師が診療します。つまり、救急医療専門の医師が診療しますので、医師を頼りないと思うこともないんです。
ですから、救急外来の医師を頼りなく感じて辞めたいと思っている看護師さんは、救命救急センターで働けば、今持っている不満を解消することができるでしょう。
残業や夜勤が多いから辞めたい場合の解決法
救急外来は残業や夜勤が多いから辞めたいと思っている人は、救急外来以外の職場で働く必要があります。
救急外来で働く看護師の数を増やしてもらえるように師長にお願いして、救急外来の看護師人数が増えれば、残業は減るかもしれませんが、夜勤回数は減りませんし、実際問題として、「残業が多いから」という理由で看護師の人数を増やしてもらうのは、人件費などの問題から、ちょっと難しいでしょう。
もし、あなたが夜勤は多くても、残業が少なければ我慢できるし、できれば救急部門で働きたいというのであれば、3次救急の救命救急センターで働きましょう。
救命救急センターは日勤帯も夜勤帯も看護師の人数が変わりませんので、夜勤は月6回前後と多めになるのですが、看護師の人数の増減がない分、勤務終了時刻になったら、申し送りをすれば定時で帰れることが多いんです。
ですから、残業がなければ夜勤は多くても我慢できる、救急部門で働きたいという人は、救命救急センターで働くことをおすすめします。
もし、残業も嫌だし夜勤も嫌という人は、日勤のみの勤務で、残業がない職場へ転職しましょう。救急外来ではなく一般外来なら、日勤のみで残業は少なめですし、クリニックや日勤のみの介護施設、デイサービスも残業が少なめなのでおすすめですよ。
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