円満退職間違いなし!辞めたい看護師の「退職理由」はこれでOK!
[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).more..]
看護師は辞めたいと思っても、師長からしつこいほど引き留められてスムーズに辞めることができずに、退職するまでに時間がかかったり、揉めてしまって円満退職できなかったりすることが多いものです。
辞めたい看護師は師長に引き留められにくいような退職理由の作成のコツや例を知っておくと、スムーズに円満退職をすることができます。
また、円満退職するためには基本的には引き留められることを覚悟することや退職することを伝えるタイミングも重要です。
<1>退職理由の基本
看護師が辞めたいと思って師長に退職することを伝える時は、その理由も一緒に伝えるのが一般的ですが、退職理由は「これでなくてはいけない」というものはありません。
こういう理由がないと退職できないという決まりはありませんので、あなたが退職したいと思った理由を正直に伝えても退職することはできます。また、具体的に辞めたい理由を述べる必要はなく、「一身上の都合」などでも良いのです。
ただ、正直な退職理由を伝えてしまうと、退職時にもめる原因になったり、師長に引き留めることができると思われてしまいます。また、「一身上の都合」だと引き留められた上に根掘り葉掘り聞かれて、面倒なことになる場合もあるでしょう。
そのため、あなたも師長もお互いに嫌な思いをせずに円満退職をするために、本音と建前を上手く使い分けた退職理由を考える必要があるのです。
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<2>退職理由のコツ
円満退職のための退職理由は理論的なものを用意しましょう。また、師長の立場に立って退職理由を考えると良いものが浮かぶでしょう。そして、すぐにばれるような嘘をつくのは絶対に止めてください。
この3つのコツを守って退職理由を考えれば、師長が引き留めにくく、誰もが納得できるような円満退職できる退職理由が思い浮かぶはずです。
<2>-1 理論的な退職理由を用意しよう
円満退職するためには、退職理由は理論的なものを用意しましょう。
感情的な退職理由を用意すると、師長に「ただ感情的になって辞めたいと思っているだけだから、引き留めることができる」と思われてしまい、しつこく引き留められることになりますので、辞めたい看護師さんは退職理由は理論的なものを用意しなければいけないのです。
例えば、「家庭の事情で引っ越すことになり、通勤が困難になるので辞めたいです」と伝える場合と、「なんだか分らないけど、この職場のすべてが嫌なのでとにかく辞めたいんです!」と伝えるのでは、どちらが退職しやすいでしょうか?
もちろん、前者のほうが退職しやすいはずです。後者はあまりにも感情的な理由になっていますので、師長は「時間をおけば落ち着くはずだし、上手く言いくるめれば退職しないはず」と思われる可能性があります。
ですから、師長にこのように思われないような理論的な退職理由を用意することが、円満退職をする秘訣なのです。
<2>-2 師長の立場に立って考えて
円満退職をするための退職理由は、師長の立場に立って考えるようにしましょう。
もし、あなたが師長の立場だったらどのような退職理由だと引き留めにくいかを考えてみるのです。そうすれば、円満退職できるような退職理由が思い浮かぶはずです。
師長が引き留めようと思うのは、師長が努力すれば何とかなる理由、改善できる理由の場合です。
例えば、「残業が多い」や「人間関係が嫌だから」などは、師長が改善できることです。業務整理をして残業を少なくしたり、人間関係を悪くしている人と話して問題を改善したりなどをすれば、辞めたい理由は解決します。
でも、「家庭の事情が理由で辞めたい場合」や「キャリアアップのために辞めたい場合」、「今の職場とは違う看護がやりたいために辞めたい場合」は、師長の力ではどうしようもないことなので、師長としては引き留めにくくなります。
ですから、円満退職のための退職理由を考える時は、師長の立場に立って、自分が師長ならどんな理由だと引き留めにくいかを考えるようにすると良いでしょう。
<2>-3 すぐにばれる嘘は止めよう
円満退職をするためには、すぐにばれる嘘を退職理由にするのは止めましょう。
すぐにばれる嘘を退職理由にすると、退職前に嘘がばれた場合に気まずいどころの話ではなくなりますし、退職後にばれた場合でも何らかの形で転職先に嘘をついて辞めたことが伝わって、転職先で肩身の狭い思いをすることになる可能性があります。
円満に退職しようと思って、師長に引き留められないような嘘の退職理由を伝えるのは悪いことではありません。ただ、すぐにばれる嘘は止めましょう。
例えば、「体調が悪くてドクターストップがかかったので」とか「親の介護をしなければいけないので」という嘘をついたとします。
「体調が悪くてドクターストップがかかった」という場合、診断書を提出するように求められたり、「うちの病院のドクターに診察してもらって」などと言われる可能性もあります。体調が悪いことは嘘なのに診断書はもらえませんし、病院のドクターに診察してもらったら、嘘なのがすぐにばれてしまいます。
また、「親の介護をしなければいけない」という場合、あなたとご両親が一緒に外出した場合、いつどこで誰に見られているかわからないというリスクがあるのです。
万が一ばれた場合は、円満退職からはほど遠くなり、「嘘なんかつくんじゃなかった」と後悔することになりますので、退職理由は嘘をついても構いませんが、絶対にばれない嘘を考えるようにしてください。
<3>退職理由のNG例、OK例
辞めたい看護師の退職理由には、円満退職しやすいものと円満退職しにくいものがあります。厚生労働省の「看護職員就業状況等実態調査結果」に掲載されている看護師の退職理由は17個(定年退職を除く)あります。
≪ 図24 退職理由(主な理由3つまで) (N=11,999) ≫
この17個は円満退職しにくいNG例、円満退職しやすいOK例の2つに分けることができます。どんな理由だと円満退職しやすいか、どんな理由だと退職しにくいのかを知っておくと、円満退職のための退職理由を考える参考になるでしょう。
<3>-1 退職理由のNG例
退職理由のNG例は、感情的な部分が大きな理由だったり、師長が改善可能な理由のものです。次のようなNG例の退職理由の場合、師長ともめたり、引き留められる可能性が高くなります。
「人間関係が良くないから」
人間関係が良くないからという理由だと、師長の努力で改善できることですので、「もう少し時間をちょうだい。うちの職場の人間関係の状態を調べて、できるだけ早く対処するから」のように強く引き留められる可能性が高くなります。
「超過勤務が多いため」
超過勤務が多いため、つまり残業が多いためという理由も、師長は業務整理をして残業時間を減らすからと引き留めてくるでしょう。本当に残業時間が減れば良いのですが、実際は減らないことがほとんどです。
「休暇が取れない、取りづらいため」
休暇が取れない、取りづらいためという理由で退職したいと伝えると、師長としては「今、看護師募集をかけているから」と言い訳できますし、「みんな少ない休みで頑張っているのに、自分だけ休みが少ないと主張するなんて」とあまり良い印象を持ちませんので、退職時に揉めるかもしれません。
「給与に不満があるため」
給与に不満があるためという理由で辞めたいことを伝えると、「お金お金って、看護師は奉仕の精神を持たなくちゃいけないのに」のように、師長に悪い印象を持たれて、退職までに職場で仲間はずれにされたり、嫌がらせをされる可能性があります。
「夜勤の負担があるため」
夜勤が負担だから辞めたいという理由だと、一時的に夜勤を外してくれるかもしれませんので、辞めたい原因は解決します。でも、おそらくそれはあくまで一時的なもので、1〜2ヶ月後には「やっぱり人手が足りないから夜勤に入って」と言われる可能性が非常に高いでしょう。
「責任の重さ・医療事故への不安があるため」
責任の重さ・医療事故への不安があるから辞めたい場合は、やや感情的な退職理由になりますので、「責任は重いけど、それが看護師のやりがいじゃない!」のように感情的な部分に訴えてきて引き留められる可能性があります。
また、受け持ち人数を考慮するなど、師長の努力である程度改善できますので、強く引き留められるでしょう。
「看護職員に向かなかったため」
「看護師に向いていないので辞めたいです」という理由も、円満退職に向いている理由とは言えません。「あなたは看護師に向いているわ」とか「少しずつ仕事に慣れれば大丈夫よ」のように感情面に訴えてきて引き留められるでしょう。
<3>-2 退職理由のOK例
退職理由のOK例は、師長の努力ではどうにもならない家庭の事情やスキルアップ、ステップアップなどの前向きで理論的な理由のものです。このようなOK例の退職理由なら、辞めたいと申し出ても、比較的スムーズに円満退職できるはずです。
OK例の中で、建前としておすすめのものは「他施設への興味」や「教育体制が充実していないため」、「キャリアアップの機会がないため」という理由です。これらの理由なら、師長は引き留めにくく、円満退職しやすいですし、建前として嘘をついてもばれにくいというメリットがあります。
「出産・育児のため」
出産・育児のために辞めたい場合は、円満退職できる可能性が高いです。看護師の職場は育児休暇や育児短時間勤務制度、院内託児所など出産後も育児と仕事を両立させるための制度が整っていることが多いのですが、それでも看護師の仕事と育児を両立させるのは大変なことで、そのことは師長もよくわかっていますので、円満退職しやすい理由になります。
「結婚のため」
結婚を機会に辞めたいという場合も、最初は引き留められるかもしれませんが、「夫と相談した結果なので」のように、自分だけでなく配偶者の希望でもあることを伝えれば、師長ではどうにもならないことなので、スムーズに円満退職できるでしょう。
「本人の健康問題のため」
健康問題で辞めたいという理由も、スムーズに退職できるでしょう。体調が悪いのに働かせるのは師長の責任問題になりかねません。ただ、前述のとおり体調が悪いからと嘘をつくと、それがばれた時には面倒なことになりますので、この理由は本当に体調が悪く、診断書がもらえる場合のみに使うようにしてください。
「家族の健康問題・介護のため」
家族の健康問題や介護のために辞めたい場合も、師長の力ではどうにもできないことですので、引き留められにくいでしょう。
「通勤が困難なため」
家庭の事情で引っ越さなければならず、通勤が困難になるため辞めたいという場合も、理論的な理由ですし、師長ではどうにもならないことなので、スムーズに円満退職できるはずです。
「通学のため」
大学院や助産師養成学校などへの通学のために辞めたい場合は、師長は引き留めることができません。通学のためという理由は、看護師としてステップアップしていきたいということですので、前向きで理論的な理由になりますから、円満退職できるでしょう。
「他施設への興味や他分野(看護以外)への興味」
他施設や他分野への興味があるために辞めたいという理由も、前向きで理論的なものです。特に、他施設に興味があるという場合は、急性期病棟から訪問看護ステーション、循環器内科から小児科のように、今の職場では絶対にできない看護をやりたいからという理由だと、円満退職しやすいでしょう。
「教育体制が充実していないため、キャリアアップの機会がないため」
教育体制が充実していないため、またはキャリアアップの機会がないためという理由で辞めたい場合も、比較的スムーズに円満退職できるはずです。
これらの理由で辞めたい場合、もっと学びたい、看護師として成長したいという前向きな気持ちがあるために辞めるわけですから、師長としては引き留めにくいのです。
ただ、これらの理由で辞めたいことを伝える場合、「ここでは全然学べない」とか「キャリアアップの機会に恵まれない」などと、今の職場を悪く言うような表現にしてしまうと、師長はムッとしますので、「ここでは学べない」ではなく「もっと学びたい」のように表現するようにしてください。
<4> 退職理由よりもタイミングが重要なことも
スムーズに円満退職をするためには、退職理由も大切ですが、退職することを伝えるタイミングも同じくらい大切です。
どんなに良い退職理由を考えても、師長に退職することを伝えるタイミングを間違えると円満退職することができません。師長に伝えるタイミングは、早めがおすすめです。退職を決めたらできるだけ早く伝えるようにしましょう。
民法第627条では、退職は2週間前に伝えれば、いつでも辞めることができると定められています。(ただし、完全月給制の場合は月の前半に退職を伝えたら月末退職、月の後半に退職を伝えたら翌月末に退職。年俸制の場合は3ヶ月前に退職を伝える必要あり。)
でも、いくら民法で「2週間前に伝えればOK」としていても、2週間前に退職することを伝えた場合、あなたが退職した後のシフトがグチャグチャになってしまいますし、あなたの代わりの看護師さんを探す時間的な余裕もありません。
あなたが退職するためにシフトを作り直さなくなったら、師長はイライラしますし、余計な仕事が増えることになりますので、嫌味を言われたりして、円満退職できなくなります。
それどころかシフトを組めなくなるなら、あなたを退職させるわけにはいきませんので、強く引き留められるでしょう。
また、もしあなたと同じ時期に辞めたい看護師さんが同じ部署にいた場合、最初に師長に伝えた方はそこまで引き留められることもなく退職を許可されるでしょう。でも、あとに伝えた方は2人も同時期に辞められたら困ると思って強く引き留められることになります。
ですから、円満退職のためには、良い退職理由を考えるだけでなく、できるだけ早く、できれば2ヶ月以上前(年俸制は最低3ヶ月前)には師長に伝えるようにしましょう。
<5> 基本的に引き留められることは覚悟して
看護師が退職をする時はどんなに良い退職理由を考えたとしても、基本的には引き留められることを覚悟しましょう。「看護師は辞めたいと思っても、引き留められるものなんだ」と知っておけば、引き留められた場合の心構えをしておくことができます。
円満退職するためには、師長が引き留めにくいような理由、誰もが退職を納得してくれる理由を考える必要がありますが、どんなに良い退職理由を考えたとしても、ほぼ100%引き留められます。
なぜなら、どこも看護師不足が深刻だからです。あなたに辞められてしまうと、看護師不足がさらに深刻化しますので、師長としてはできるだけ辞めてほしくはないのです。
でも、師長が辞めてほしくないからと言って、退職してはいけないと言うことではありません。
●引き留められるのは仕方がないこと
●引き留められても、きちんと「辞めたいこと」を伝えなければいけないと心の準備をしておくこと
そうすれば、引き留められたとしても「どうしよう、引き留められた…」とパニックになったり、落ち込んだりせずに、きちんと対応することができるでしょう。
まとめ
看護師が辞めたい時の退職理由は、建前を上手に使って師長が引き留めにくいものを考えるようにしましょう。
辞めたいのだから、退職理由なんて何でも良いし、引き留められても強行突破して退職すれば良いと思うかもしれませんが、強行突破で退職するのは、どうやっても退職を認めてもらえない場合の最終手段です。
基本的には、社会人としてのマナーを守り、できるだけ円満退職をするようにしましょう。円満退職をすれば、前向きな気持ちで次への第一歩を踏み出すことができるはずです。
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